野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

鮒寿司食べたことないんです

久しぶりのレイワークス公演、「ダンスレゾナンスvol.3 山田レイ&秦理絵 言舞」を観てきた。会場は大津市伝統芸能会館の能楽堂。ここはイイ!
今回は、幕間(とオープニング)に、なんちゃって狂言「河童と若旦那」が演じられた。「踊りだけだと観ている側にとって重くなりそうなので」ということらしいが、なるほどこれは良い考えだ。演じているのは劇団ニットキャップシアターの看板役者二人だ。初めて観るが、ニットキャップシアターの芝居を観に行きたくなったぞ。
また今回は、お囃子、じゃなくてバックバンドでもないし、まあ要するにバックの演奏をする人たちな、大抵はテープだかMDだかを使ってるようだが、今回は生演奏だ。いやぁ、だんさんぜぇ〜たくでんなぁ。これは良い。かなり良い。このオケピ(違)を見たくて、途中で席を移動した。この能楽堂は正面だけでなくて横の方から舞台を見られる席がある。まあはっきり言って客の入りは多くなかったので席の自由度は高い。主催者にとっては死活問題かもしれんがオーディエンスにとっては有難いことこの上ない。
さて肝心の踊りの方だが。まず、「ほたる」。怖すぎます。あまりに陰惨で不吉な感じがして、不整脈が出た。赤子(の人形)を抱いて出てくる女性、何の説明もないけど、明らかに「狂っている」。長い時間が経過していき、彼女は経年劣化して朽ち果てていく。まるで、死体が腐乱していく様子を観察する不浄観のようだ。いや、「のようだ」と言ってもそんなの実際にやったこと無いから知らんけども。最後のまるで脱皮していくような様子では、教会の巨大な絵の前で召されてゆくネロとパトラッシュを連想してしまった。バックは般若心経なのに。
共演の秦理絵さん、正直なところ彼女の踊り自体は、まだあまりピンと来てないのだが、「常世の水〜白比丘尼抄〜」で後半、お囃子(だから違うって)に明らかなリズムが入り始めたあたりからなんだか呪術的な雰囲気を醸し出し始め、すごく良い感じになってきた。
そして「芭蕉精」、いつものBGMは使わず、映像もなく。今回はひと味違う。最初は概ねいつものような感じだが、秦さんがからみ、そして演奏もある種の妖しさを帯び始め、祭祀のような感じになってきた。能楽堂という場所の効果もあるのだろう。
一旦「芭蕉精」が終わってぐはぁ、となっているところに、なんちゃって狂言の二人も出てきて「こきりこ節」でおしまい。
いやあ、なんだかすごい迫力だったなぁ。