野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

いちいちごもっとも

「ウェブはバカと暇人のもの」ってまた随分と挑発的なタイトルだこと。

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)


わたくしなんぞは「ウェブ進化論」や「グーグル―既存のビジネスを破壊する」を読んで、素直に「Web2.0すげー」と思ったものだ。いや、この本の著者だって最初はそう思ったのだ。でも、ニュースサイトの編集者、つまりネットの現場に身を置いている作者によれば現実は違う、らしい。いや正確には、あれも決して嘘じゃない。けど、あくまで「頭の良い人」の話であって、世の中のマジョリティである「普通の人」、そして「バカ」がかかわってくると事情は随分違ってくると。
この本を読んでると、なんだかやりきれなくなってくる。確かに、たまに2ちゃんねるなんかを覗いてみると実感できる。世の中にはやっぱり「バカ」がいる。多くは「普通の人」だけど一部の「バカ」の破壊力って本当に大きいのだな。
「現場からのネット敗北宣言」というだけあって、色々と身も蓋もない、だけど至極真っ当で説得力のある主張が繰り広げられる。いわく、やっぱりいまだにTVは最強のメディアである、大企業はネットをマーケティングのツールとして使いこなすことはできない、だからネットに期待しすぎるな、と。
消費者もバカだが、企業も何にもわかってない。「これからはWeb2.0の時代ですなぁ、ガハハ」などと言うオッサンの会社からプロモーションの企画を依頼され、直接の担当者は「おもしろいですね!」と言ってくれるのだが結局は「過激すぎる」「品がない」と没にされる… ということが繰り返された著者の恨みつらみが満載だ。
どうも救いが無さ過ぎるな、と思いながら読み進め、でも最後の章「ネットはあなたの人生をなにも変えない」でなぜだかちょっと感動し、ほっとする。
結局この本のメッセージは、「ネットに過度な幻想を持つのはもうやめよう」なのだろう。