野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

どいつもこいつもろくなもんじゃねえ

やっと、「新源氏物語 (下) (新潮文庫)」を読み終わり、これでとりあえずは源氏物語のストーリーを一通り把握できるのか思いきや、ここでは源氏の君が出家するところまでで話は終わりだ。実はこのあとさらに「霧ふかき宇治の恋」上下巻というのがあることに気づいた。いわゆる「宇治十帖」を含む第三部だ。

新源氏物語 (下) (新潮文庫)

新源氏物語 (下) (新潮文庫)


まあ、谷崎バージョンは全部で5巻にもなってるのに、なんで3巻ですむのか、と少々不審に思ってはいたのだけど。とにかく、源氏の生きてる間の話としては、この巻で完結だ。オリジナルで言えば、「梅枝」から「幻」までに相当する。息子の夕霧君はもう立派な大人になったのだが、

いつまでも独身でいると誤解も招くし、ずるずるにつまらぬ女と一緒になったりしては外聞もわるく、志とも違うことになる。女のことで身をあやまる例は昔から多いのだ。

とか、

定まる妻を持たぬ男は、とかく浮名をたてられやすく、また、道ならぬことに深くなり、相手にも浮名をたて自分も恨みを負うたりすると、終生、悔恨のたねとなる。

などと説教をしてみたりして、「アンタにだけは言われたか無いよ!」と読みながら突っ込んだのは、何も僕だけではないはずだ。