これは驚いた。いや何がって、「さらば愛しき女よ」が。
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))
- 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04
- メディア: 文庫
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この本を読んだのは、もう20年ほども前のこと。そう、確かに読んだのだ。だけど、今回あらためて読み直して分かったのだが、内容を一切覚えていない。何一つとして覚えていない。もう、これっぽっちも覚えていない。主役がフィリップ・マーロウという以外にはなーんにも覚えていない。
そして、確かにこれは村上春樹だ。
- 「この八年間、俺はどこにいたと思う?」「蝶々を捕まえていたのかね?」
- アン・リアードンは唇をなかば開いて、ダライ・ラマを眺めているようなうっとりした表情で聞いていた。それから、ゆっくり唇を閉じて、うなずいた。「あなたは頭がいいのね。でも利口じゃないわ」
- 私はタバコに火をつけた。水道人夫のハンケチのような味だった。
全編、こんな調子だもんな。
それにしてもマーロウ君はどうやら四六時中ウイスキーを飲んでおるな。そしてコーヒーもむやみやたらと飲む。一日に5杯も6杯も。だけど意外なことに、ゆで卵は半熟もしくはやわらかめが好きなようだ。