野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ハードボイルド

これは驚いた。いや何がって、「さらば愛しき女よ」が。


この本を読んだのは、もう20年ほども前のこと。そう、確かに読んだのだ。だけど、今回あらためて読み直して分かったのだが、内容を一切覚えていない。何一つとして覚えていない。もう、これっぽっちも覚えていない。主役がフィリップ・マーロウという以外にはなーんにも覚えていない。
そして、確かにこれは村上春樹だ。

  • 「この八年間、俺はどこにいたと思う?」「蝶々を捕まえていたのかね?」
  • アン・リアードンは唇をなかば開いて、ダライ・ラマを眺めているようなうっとりした表情で聞いていた。それから、ゆっくり唇を閉じて、うなずいた。「あなたは頭がいいのね。でも利口じゃないわ」
  • 私はタバコに火をつけた。水道人夫のハンケチのような味だった。

全編、こんな調子だもんな。
それにしてもマーロウ君はどうやら四六時中ウイスキーを飲んでおるな。そしてコーヒーもむやみやたらと飲む。一日に5杯も6杯も。だけど意外なことに、ゆで卵は半熟もしくはやわらかめが好きなようだ。