故・桂枝雀が厳選した60の持ちネタについて語るという「桂枝雀のらくご案内」。
- 作者: 桂枝雀
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1996/12
- メディア: 文庫
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朝日新聞に、桂米朝師匠が「米朝口まかせ」というコラムを連載しているが、この本の語り口はそれにそっくりだ。
こういうものを読むと、枝雀師匠っていうのは本当に、芸に対して生真面目でストイックだったんだなというのが見えてくる気がする。で、この人のマクラを聴いた時にも思ったのだけど、理屈っぽいよね、やっぱり。
人間は死んだらその存在が消えてしまうと考えそれに対する恐怖を感じていたが、70年代に鬱病にかかり、それを克服した後に「人間というのはなくならない」と気づいて、その恐怖は無くなったという。
人間は大きい餅からわかれた小餅なんですね。
その小餅に皮がありまして、それが「我」というものなんです。はじめのうちはその皮が厚いんですが何度も生まれかわり死にかわりしているうちに皮が次第に薄くなって、いつの日にか「我」の皮がなくなる。自他の区別がなくなって大餅に吸収される時が来るのです。
て、なんとも独特の死生観じゃないか。でも、輪廻転生みたいなものを信奉してはったんやな。
それにしても、「62人目の仲間は最後までおつきあいくださったあなたです」ていうのが泣かせるじゃないか。憎いね、なかなか。