村上春樹の「意味がなければスイングはない」、ついに待望の文庫化!
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/12/04
- メディア: 文庫
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あとがきに「考えてみれば、書物と音楽は、僕の人生における二つの重要なキーになった」と書かれている。人生における重要なキー、とまで言うつもりはないが、これは僕にとっても同様で、少なくとも余暇の部分の多くを占めている、と言って良いだろう。
以前、村上さんの「ポートレイト・イン・ジャズ」を読んで、この人は本当にジャズが好きなんだなと思った。僕も時々ライブやCDの感想なんぞを書いてみたりしているが、とてもこの人のように、その魅力を余すところなく伝える、というようなことはできない。そして今回は、ジャズにとどまらず、ブライアン・ウィルソンについてその思いのたけをぶちまけたかと思えば、ブルース・スプリングスティーンとレイモンド・カーヴァーの共通性について論じてみたり、作曲家としてのプーランク、シューベルトのピアノソナタ、ピアニストとしてのルービンシュタイン、ゼルキン、そして「ポートレイト」でもおなじみのスタン・ゲッツやウィントン・マルサリス、挙句の果てにはスガシカオ、そしてウディ・ガスリー(こんな名前、知らんかった)について語る、という縦横無尽ぶり。それぞれの好みはとりあえず置いておくとしても、いやぁすごい。