先日読んだ「ぼくらの頭脳の鍛え方」という本には、立花隆・佐藤優両氏によるオススメの書籍のリストがある。「知的欲望に満ちた社会人へ」として佐藤氏が選んだ本の中に「スパイのためのハンドブック」がある。佐藤氏によるコメントは以下のとおり:
冒頭にスパイの適正をチェックするテストがある。これで最高点をとると「やりすぎだ」という観点から、あまりこの業界では成功しないという評価が下される。モサド(イスラエル諜報特務庁)の伝説的スパイであるウォルフガング・ロッツが書いたインテリジェンスに関する実用性の高い入門書。
あーなるほどね。
で先週のこと、河原町のジュンク堂で、ソフトウェア関係の本のところに、「佐藤優氏推薦!」としてこの「スパイのためのハンドブック」が並べられていた。
…なんで?ソフトウェア開発とスパイにいったいどういう関係が?あ、ひょっとして、「情報」つながり?んなアホな。プログラミングの、たとえばアルゴリズム関係のところにあれば、暗号化、とかそんな関連がなくもないだろうが、この本では暗号の技術的な話についてはまったく触れられていないし、そもそも置いてあったのは、「SE」のコーナーだし。まったく、謎は深まるばかりである。
- 作者: ウォルフガング・ロッツ,朝河伸英
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1982/03/30
- メディア: 文庫
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一応、冒頭のスパイ適正試験をやってみた。たしか150点ぐらい。ロッツの講評は
あなたは普通並みで、ほとんどの人がそうである。あなたは慣習のために相当身動きがとれなくなっている。われわれのような職業でも、あなたの使い道はある。身を入れて勤めれば、やがてはまずまずの情報部員にはなれよう。
ということだった。いや、別に情報部員になれなくてもいいです。
まあそれはそれとして、全体には面白い本だ。我々がイメージするスパイの言動っていうのは、そんなの映画や小説の中だけ、というのもあれば、へえ本当にそんなことするんか、というのまで色々だ。とりあえず、外出前に机の引き出しの中に、タルカム・パウダーをふりけた、割とどうでも良い書類をいれておく。こうすると、留守中に誰かが自分の部屋に侵入して、机の中の書類を漁ったことがわかる仕掛けだ。
おー、まさにどっかの小説で読んだようなことを本当にやるのか。と一瞬感心した。いやまてよ、この話を読んだのは割と最近、「ジョーカー・ゲーム」じゃないか。そういやあの本の最後に参考文献として、この「スパイのためのハンドブック」が挙げられていたぞ。なんてこたない、実はこっちが元ネタだったか。
しかし、スパイになりたいやつなんて本当にいるもんだろうか。映画「トゥルーライズ」にでてきた中古車のセールスマンみたいなやつが。とりあえず俺様は遠慮しときます。向いてないのは明らかだ。