野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

カツオ以外全員老害!?

「おせっかい教育論」略して「おせっ教」(略さんでもよろしい)を読んだ。
先日の相愛大学で行われたシンポジウム「人文科学の挑戦」でもこの本の話は出ていたが、ウチダ先生と釈徹宗先生、それに鷲田総長、そして平松市長というこれまた豪華なメンバによるセミナーの記録なんでありますな。

おせっかい教育論

おせっかい教育論


ウチダ先生の主張はいつものとおり「教育を経済合理性や市場原理で語るな」ということ。教育というのは「教育を受ける側が受益する」ものではない。教育の目的は「教育を受けるものの自己利益を増大すること」ではなく、「共同体が生き延びること」である。「教えたい」と思う側が「まず身銭を切る」ところから始めねばならず、まず「教えたい」という「おせっかい」があり、それが「教わりたい」というニーズを作り出すのである。ということなんである。(下記URL参照)
http://blog.tatsuru.com/2009/10/02_0924.php
だから、これが「おせっかい」ってことなんでございますね。
面白かったのは、ウチダ先生の

どんな共同体でも、どんなきちんとしたルールを持った集団でも、そこからこぼれ落ちていく人たちが必ず発生する。でも、その「こぼれ落ちていく子たち」のうちから次代を担う「イノベーター」が生まれてくる。これは必ずそうなんです。どんなよくできた共同体でも、いつかどこかで制度疲労を起こして壊れてゆく。だから、その壊れていきそうなものにいちはやく気づいて、そこを補正して制度を再構築できる人が絶対に必要なんです。でもそういう仕事をする人間は既存の制度の中の「秀才」からは出てこない。絶対、出てこない。イノベーターはつねに「落ちこぼれ」の中から出現する。ですから、制度の中長期的な安全保障を配慮したら、「落ちこぼれたち」を切り捨てちゃいけない。彼らを支え、彼らが自尊感情を持て、生き延びてゆける場所を提供することが必要なんです。
(pp.37-38)

という発言。実は先日、ツイッターで

『サザエさん』で一番腹立つのはカツオがあれだけ独創性に満ちたイノベーティブなアイデアで新しい価値を創造してることは誰も褒めずにただ学校教育なんていう制度のもとでテストの点数が低いなんていう馬鹿げた一点のみをして彼の言動全てに否定的な態度をとってること。カツオ以外全員老害

http://twitter.com/#!/tamtam_rev3/status/27362392301
というのを読んだばかりなのだ。まあこの人の言いたいことは少し違うんだろうけど、カツオ(=既存の制度における「落ちこぼれ」)がイノベーターである、というところは一緒ですな。
ナカノシマ大学、これからどうなっていくのか注目であります。