野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

クソガキmeetsクソジジイ

荻原浩という人は、いったいどういう作風の作家なのだろう。以前にちょっとホラー系の「押入れのちよ」を読み、そして今回「ひまわり事件」を読んでそう思った。

ひまわり事件 (文春文庫)

ひまわり事件 (文春文庫)

少子高齢化のもたらすもの、ってこういうことだよな。いや、養老せんせの言われる「都市」とか「脳化」ってのはこういうことか。生老病死のシステマティックな隠蔽、その結果が少子高齢化社会なのか?
歳をとるのは悲惨なことで、こどもってのはサルと変わらない。二世代も離れるとお互いをまったく理解できず、老人にとってこどもは意味不明な異星人だし、こどもにとって老人は奇怪なゾンビである。老人とこどもの心温まる交流を描く、とかそんなヌルい話じゃないですなこれは。いやまあ、そういう読み方をしてもいっこうにかまわないのだけど。最後まで、なんとなく救いがないというか、でもそれがかえって清々しいというか。後味が良いのか悪いのか、よくわかりませんがなかなか面白い本でした。