荻原浩という人は、いったいどういう作風の作家なのだろう。以前にちょっとホラー系の「押入れのちよ」を読み、そして今回「ひまわり事件」を読んでそう思った。
- 作者: 荻原浩
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/07/10
- メディア: 文庫
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少子高齢化のもたらすもの、ってこういうことだよな。いや、養老せんせの言われる「都市」とか「脳化」ってのはこういうことか。生老病死のシステマティックな隠蔽、その結果が少子高齢化社会なのか?
歳をとるのは悲惨なことで、こどもってのはサルと変わらない。二世代も離れるとお互いをまったく理解できず、老人にとってこどもは意味不明な異星人だし、こどもにとって老人は奇怪なゾンビである。老人とこどもの心温まる交流を描く、とかそんなヌルい話じゃないですなこれは。いやまあ、そういう読み方をしてもいっこうにかまわないのだけど。最後まで、なんとなく救いがないというか、でもそれがかえって清々しいというか。後味が良いのか悪いのか、よくわかりませんがなかなか面白い本でした。