福島の原発事故からもうすぐ2年になる。それぐらい経てばもうそろそろ喉元の熱さを忘れるには十分らしく、「安全な原発」を再稼働させようとかなんとか。何なのよ「安全な原発」って。
- 作者: NHK「東海村臨界事故」取材班
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/09
- メディア: 文庫
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福島の事故よりさらに12年前、東海村の核燃料加工施設で臨界事故がおこり、中性子線を浴びた作業員2名が死亡した。この件について恥ずかしながらわたくしは、ああそういやそんなことがあったなぁぐらいの記憶しかなかった。のだが、この「朽ちていった命」を読んで、それがどんなに凄絶で苛烈を極めるものだったのかということを知ったわけですよ。数ヶ月という時間をかけて、皮膚が剥がれ、粘膜は脱落し、内臓は機能しなくなり、血液、体液はとめどなく流出していく。ほんの一瞬だけ被曝した中性子線によってDNAが損傷したことで、こうなるという。治療にあたった医師たちは、前例の無いことが次々に起こる中で、出来る限りの手をつくすのだが…
これは以前にNHKで放送されたドキュメンタリーを本にしたもので、おそらく結構な数の人が観ていると思うのだけど。やっぱり、原子力とか放射能/放射線なんて、人間の扱える範囲を超えているものなんじゃないかと思えてしかたがないのだ。