野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

彼らだってヘタレなわけじゃない

ほっとくと読む本がどうしてもリーダビリティの高い小説ばかりに傾いてしまう。
たまにはもう少し歯ごたえのあるものも読まないと顎が弱る。かといってあまりえげつないものに手を出してもお腹こわすし。とりあえず新書ぐらいで無難に。

国家の命運 (新潮新書)

国家の命運 (新潮新書)

「国家の命運」とは仰々しいタイトルだ。書店で見かけて、藪中三十二、という名前に見覚えがあり、ちょっと気になって手に取ってみた。藪中さん、もと外務省事務次官ですな。たしかマサルちゃんの本でこの人のことについて読んだことがあるような。
外交交渉の現場で起こっていること、というのをわかりやすく書かれていて、とても面白い。外交に関連する話というのは、公にできない内容も多いから、報道されて我々一般人が得ることのできる情報というのは非常に限られている。マサルちゃんのようなインテリジェンスのプロフェッショナルたちであれば、そこから本質的なものを透かして見ることもできるのだが、残念ながらわたくしどもには、何やってるんだアイツら、というふうにしか見えない。大変なんですよ彼らもね。
マサルちゃんの本よりは気楽に読めますな。薄いし。ところどころで内田せんせの「日本辺境論」を引き合いに出してくるところも興味深い。少子化に対する考え方など、主張するところはかなり違う部分もあるようだけど。とりあえず、「外交の修羅場」というのを垣間見ることができるというだけでも値打ちのある一冊かと。