どうやらわたくしはヤンキーが嫌いらしい。
いや、友人知人の中にヤンキーな人というのも少しはいて、必ずしも人物としての彼らが嫌いなわけではない(嫌いな場合もあるけど)。ヤンキーそのもの、というより何かヤンキー的なもの、というのがどうしても好きになれないのだ、ということが「ヤンキー化する日本」を読んでいてわかった。
齋藤環さんのヤンキー論は、ツイッターで彼をフォローしていると関連するツイートが時々流れてくるので、断片的には読んだことがある。非常に興味深い内容なのだが、これが新書で出るというので買い求めたわけだ。
- 作者: 斎藤環
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 2014/03/06
- メディア: 新書
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バッドセンスな装いや美学と、「気合い」や「絆」といった理念のもと、家族や仲間を大切にするという一種の倫理観とがアマルガム的に融合したひとつの“文化”
なるほど。
これを絶対的な悪として全否定するものではない。そもそも、ヤンキー性というものはある程度、日本人という民族に組み込まれているものでだし、そのような性向が適切であったり役に立ったりという状況というのもきっとあるはずだからだ。問題は、このヤンキー性がいまの日本のあらゆる分野において瀰漫していることだ。特に政治が急速にヤンキー化している、という指摘には、 なるほど、と思った。安部首相や橋下市長に対してわたくしが持つ「嫌な感じ」の理由というのはどうもここにあるようだ。
別に何でもかんでもヤンキー性で説明すれば良いってもんではない。しかしながら、それで説明できてしまうことがあまりに多いというのも事実だ。というわけで、大変面白く読めた。ヤンキー論としては本書の前に「世界が土曜の夜の夢なら」というのが出ている。ぜひそっちも読んでみたいと思う次第である。