そらハードやな

「誉田作品史上もっともハードな警察小説！」てなことが「ハング」の文庫本のオビに書かれている。

ハング (中公文庫)

どゆことやねんそれ、と思いながらもずっと手をつけずにいたわけだが、一応「ジウ」シリーズは「歌舞伎町セブン」も含めて全部読んだし、そろそろ良いかな、と思って読んでみた。
話は「そしてみんなで仲良く海へ行きました」てなところから始まる。みんな、てのは警視庁捜査一課の堀田班のメンバーだ。植草巡査部長の妹である遥ちゃんはなかなかキュートなようで、いやいやなんでやねんこれのどこが「ハードな警察小説」？などと思いながら読み進めると、とある事件の再捜査を担当していた堀田班が、ある日突然に解散させられるあたりから雲行きが怪しくなってくる。いや、物語の本来の方向に向いてきた、ということなのだけど。
まあアレだね、あえて最初の方をほんわかした感じにしておいて、ハードさをより際立たせよう、て作戦ね。
もちろん裏には右翼の大物とか政治家とか警察官僚の陰謀なんかが絡んでいて、そういう意味では「よくある話」とも言える。が、それでもお得意のグロい系の話もあれこれ散りばめながら、ぐいぐい読ませるあたりはさすが誉田作品。