貨幣経済を崩壊させようとするノノ君が、超精巧な偽札を作って流通させる話。大雑把に言ってしまえば、まあそういうことだ。最初の部分で、偽札が拡散していく様子が思い切り具体的に描写されていて、なるほど「金は天下の回りもの」とはよく言ったもんだ、と妙に感心した。
よく言われるように、貨幣ってのは大規模に共有された幻想なのね。その幻想から「一抜けた」する人がある一定の規模以上になると、これはもうパニックで、貨幣経済は崩壊してしまう。ひとつの国家が転覆してしまうぐらいのインパクトがあって、だから貨幣の偽造は重罪なんだな。
ドラマWの原作って、わりとシリアスで重厚な雰囲気のものが多いと思うのだけど、これはちょっと違ったテイストだ。決して軽いわけじゃないんだけども、なんだかクールというか、物語を語る側が、登場人物を突き放し、一定の距離を置いている感じがする。ちょっと独特な味わいで、なんだか新鮮だった。