新宿駅の東口改札を出てすぐのところに、ベルクという小さな店がある。
いったい何の店なのかはよくわからない。一応はカフェと分類されているようだ。ビールの立ち飲み?いやしかし朝からやっていて、コーヒーも飲めるようだ。ホットドッグなんてちょっとジャンクな感じのものが売りになっているらしい。さる人からおすすめされたことがあるので、以前に一度、東京へ出張した時の帰り際に立ち寄り、クラフトビールを一杯飲んだことがある。雑然とした、でも不思議な活気があって、なんだか面白そうな店だった。
その新宿ベルクについての本「新宿駅最後の小さなお店ベルク」というのがあったらしく、さいきん文庫化されている。店長の井野さんが書いたのだそうだ。こりゃ面白そうだというので読んでみた。
新宿駅最後の小さなお店ベルク: 個人店が生き残るには? (ちくま文庫)
- 作者: 井野朋也
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2014/12/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (3件) を見る
以前に一度ベルクに立ち寄った時はビールしか飲んでない。あの時ホットドッグを食べなかったのを、この本を読み終わった今は後悔している。あのホットドッグは、単なるジャンクフードではなかったのだ。とにかく、コーヒーでもパンでもソーセージでも何でもかんでも、あれこれこだわってやられているのだ。知らなかった。いわゆるやりすぎ系の店だったのか。しかしながら、単にやりすぎだけでは採算がとれず、店の経営は成り立たない。そこはちゃんと、商売としての実績も出しつつ、とにかくオモロいことをやろうという、しっかりしたフィロソフィみたいなものがあるんでしょうな。この本を読むと、その辺がすごく感じられる。こういうのがまさに、ヒューマンスケールの「小商い」というやつで、大資本のチェーン店では出せない魅力に溢れた店なわけだ。もちろんグローバル資本が焼畑農業的に商売をしている横で(あるいはその真っ只中で)「小商い」をしていくにあたっての苦労というのは大いにあり、そのあたりについても色々と語られている。そうか裏ではそんな話もあったのか、と思いながら生ビールを飲んでみるのも一興ではなかろうか。
最近、東京へ出張しても、残念ながら新宿方面へ行く用事が無くなったのだ。なんとか機会を作って、またベルクへ行き、今度こそはホットドッグも食べてみたいと思う。