野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

冬のサイダーも良いんでないかい

なんだかぐったりした土曜日には、あまり殺伐としておらず、できればちょっと口当たりの良い小説なんかを読んでみたいと思ったりする。
そんな時はほら、瀬尾まいこ、とか。
てなわけで「図書館の神様」など。

図書館の神様 (ちくま文庫)

図書館の神様 (ちくま文庫)


少なくともわたくしの知る限りにおいて、この人の小説には邪悪な人間というのが出てこない。ちょっとどこかネジがゆるんでいたり、変なところにやたら力が入っていてなんだか生きにくそうな人、ていうのはたくさんいるけど。リアリティなんかなさそうで、ああでもこんな人が知り合いにいたような気がする、なんて思わされたり。
なんとなく流れで高校の国語教師をやっている主人公。これまた流れで部員1名の文芸部の顧問をやることになってしまう。高校時代はバレーボールに打ち込んだが、本なんてほとんど読んだことがない。国語教師なんていったって、文学なんぞまったく興味がない。そんな顧問がいる文芸部の、たったひとりの部員である垣内君。彼の文芸部の活動というのがこれまた、生真面目なんだかおちょくってるんだかわからないが、何とも言えず良いのだなあ。
やっぱり、たまにはこういう爽やかで後味の良い小説を読んで、眉間のシワをゆるめた方が良い。