野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

神社ヤバいっすね

小学校だか中学校だかで習う日本の歴史は、縄文時代から始まる。
その後に稲作が導入されて弥生時代になる、というような感じだ。
縄文時代というのは今から1万年以上も前のことだが、今でもその痕跡は、注意深く観察すれば日常的に目にしたり触れたりしているそこかしこに見出すことができる。というのが『アースダイバー』のコンセプトだった。
それは激しくわたくしの興味を惹きつけ、『アースダイバー』シリーズおよび関連する書籍を読み耽り、また実際にあちこちのフィールドワークに出て行ってみたりもしたものだ。
そして今回、『アースダイバー 神社編』が出た。神社は、アースダイビング的に極めて重要だ。神社編すなわち決定版と見做しても差し支えなかろう。
と思って買い求め、読んだ。

わりと「地形」にフォーカスしてきた今までの『アースダイバー』シリーズに対し、今回は違う次元に踏み込んだな、という印象だ。
縄文人が狩猟採集民として暮らしているところに、南方からの海民たち(あえて「弥生人」とは呼ばないらしい)がやってきた。それぞれの文化の共通点、あるいは相違点を見ながら、それぞれがどのように融合され、取り込まれ、あるいはついに相容れなかったものをどう解消していったのか。さらには、その結果はどのように語り継がれてきたのか。
そんなことを、現代の我々がアクセス可能な物語の裏表を読み解き、想像力をフルに発揮しながら組み立てていく。そんな話だ。言ってみれば、これは日本の神話研究である、という見方もできるのではないか。というか、『野生の思考』の日本におけるケーススタディ、という感じがする。
今まで『アースダイバー』について、知らない人に対しては「ブラタモリみたいなもん?」と言われれば、そうだ、と答えてきたが、いよいよこの神社編に至っては、それはもはや正しくない。
なんだろうなアースダイバー、これからどこへ向かおうとしているのか。
でもとにかく、面白い本であることだけは間違いない。