『ブルシット・ジョブの謎』などという本を見かけて、お、なんだデヴィッド・グレイバーの『ブルシット・ジョブ』のパクりか?と思ったら、著書はなんと日本語版の訳者だった。
訳者であるならなおのこと、わざわざ似たような本を出す必要があるのか、そっちの方が謎やんけと思ってしまう。しかし、だ。オリジナルの『ブルシット・ジョブ』は、実をいうと決してわかりやすい本ではない。話の展開がわりとアクロバティックなのだ。
だから、『ブルシット・ジョブの謎』は本家『ブルシット・ジョブ』の理解を助けるための副読本的な意義があるのかも、という気がした。
実際、かなりの部分が本家『ブルシット・ジョブ』の内容をなぞっているのだが、本家を読んだときに「結局何が言いたいんだ?」と当惑したようなあたりを、いい感じに解説したり補足したりしてくれている。
特に、ブルシット・ジョブの発生とネオリベラリズムの関係とか。
そんなわけで、この本には単なる便乗本(失礼なこというな)ではなく、ちゃんと独立した本としてある一定の意義がある、と思う。