野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

本当に二つで十分ですか?

いずれは読んでみないとな、と思っているSFの古典がいくつかある。
アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』はその一つだ。

映画『ブレードランナー』の原作として有名だが、デッカードが逃亡アンドロイドを「処分」する、という以外はずいぶんと違ったストーリーになっている。そう、そもそも「レプリカント」ではなく「アンドロイド」だし、「ブレードランナー」ではなく「バウンティハンター」だ。映画には登場しないが原作には出てくる、あるいはその逆の登場人物もあれこれ。
とにかく、あの映画とは随分と違ったテイストになっている。人類と見做されない特殊者(スペシャル)で「ピンボケ」と呼ばれるイジドアや、電気羊ではなく本物の羊を欲しがるデッカードが、なんとも物哀しい。

この小説が書かれた1960年代時点での、21世紀のテクノロジーの予測も、なんだかいびつで面白い。自動車はホバーカーで空を飛び、離れた所にいる人との会話には普通に「映話」つまりビデオ通話を使うのに、モバイル端末ではないし、ディスプレイはブラウン管だったりする。
ちなみに最新型の脳ユニットはネクサス6型、GoogleAndroidスマートフォンと同じ名前だ。というかGoogleはこの電気羊かブレードランナーにちなんで自社のAndroidスマホNexusの名前を付けたのだろうな。