野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

まずいばかりでもなさそうですよ

探偵ナイトスクープに、パティシエの林先生に妙な食材であれこれ料理を作らせる、という依頼が時々あった。
服部緑地の池で採れたドブ貝を食べられるようにしてくれ(たぶんあれがこのシリーズの始まりだ)、とかママレンジ(おもちゃのレンジだ)でホットケーキを焼け、とか母乳でケーキを作れとか、まあ無理難題ばかりだが断らず(最初は断るが煽られて結局受けるというお約束のパターン)、いずれもさすがはプロ、と感心させられたものだ。
後には顧問としても出演されていたようだが、最近はさすがにもうあのような依頼は受けていないのだろうか。局長が交代して以降、わたくしはあの番組を観ていないのでよくわからない。
なんでそんな話を長々と書いているかというと、『戦国、まずい飯!』を読んで、思い出したからだ。

戦国時代の武将に関する記録なり言い伝えなりに出てくる様々な食べ物を、現代に再現してみよう(そして実際に食べてみよう)、というのがこの本の主旨だ。
アホなことやっとるな、と思いつつ、あまり期待せずに読んでみた。
ところが、それぞれのテーマで取り上げる料理(というか中には雑草を食べてみるだけ、みたいなのもあるけど)については、食材や調理法についてあれこれ調査して、結構マジメにやっている。そして、それぞれの戦国武将と関連する史実についてはずいぶん詳しく、そこで語られる歴史的背景などは、かなりしっかりしたものだったりして、つまりは存外に面白い本になっているのだな。
それにしても最後は味噌ってすごいんだぜ、という話に流れていき、いやあんた土井先生かいなという感じであるが、実際わたくし自身も米国駐在時に、味噌汁は最強であると実感しているので、この言説には大いに賛同するのである。