バカの一つ覚えみたいに、昔読んだのに内容を忘れたとか映画を観たけど覚えてないとかそんなことばっかり言っている気がするのだが、『マスカレード・ナイト』もまた今年の夏に映画を観たのだが、改めて原作を読んでみて、肝心なところをさっぱり覚えていないことがわかって驚愕した。
いや、わりとどうでもよいところは結構覚えていたりするのだ。例えば最初の部分で、休暇中の新田刑事が何やらダンス教室のインストラクターを食事に誘っているところに電話がかかってきて呼び出されるシーン。あれは映画用にわざわざ用意されたのだと思い込んでいたら、なんと原作にもあったのだ。そういったところをはじめとして、『マスカレード・ホテル』もそうだったが、あの映画のシリーズは全体に結構原作に忠実に作られているっぽい。
その辺は映画の話であるから置いておくとして、単にクセが強いだけでなく終盤に向けて重要性の増してくる登場人物たち、たとえば日下部氏であるとか仲根緑といったあたりの正体をすっかり忘れており、最後にネタが明かされたところで「そうだったのか!」と驚くと同時に「そんな大事なところ覚えてへんかったんかい!!」と自身に突っ込むなどして、いやはや何とも。
ただ、最後に一気に明かされるネタは、ずいぶん複雑で、正直なところ本当にちゃんと理解できたのかというと、少しばかり怪しかったりもする。おそらく映画を観たときもそうだったのではないかと思われる。なんとなくわかったような気になっている話なので大事なところが記憶に残っていないのではないか。
まあ何度読んでも新鮮、ということで結構なのではありますまいか。