坂本教授が90年代からニューヨーク在住なのは知っていたが、福岡ハカセもニューヨークで活動されているとは知らなかった。
で、このお二人が数ヶ月に一度会って食事などされていたらしく、それが対談としてまとめられて本になったと。
文明の行き着いた先にある歪みとか、そこからどうやってリカバリーするのか、とか。
まあいろいろとスケールの大きいお話です。
コンピューターで音楽を作るとか分子生物学の研究なんていうのは、ピュシス的なものを対象にしつつも、ロゴス的な営みの極みだと思うのだけど、だからこそたどり着ける境地というのがあるのだろう。
ピュシスの実態は、ロゴスの極限にまでたどり着かないと見えにくい(p.188)
なんだそうで。なるほどそういうものかもしれない。
そして生命活動においては、「作る」より「壊す」方が重要というか、それによって駆動されているという側面があると。これが「動的平衡」ということか。
この対話から、教授の『async』と『12』制作の背景にある思想が見えて、なかなか興味深かった。