野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

書写山の社僧正が出まして

昨年『義経』を読んだのは、町田康の『ギケイキ』を読んでみたかったからだ。
なのにもう、『義経』を読んでからかれこれ半年が経とうとしている。
こりゃいかん、ということで忘れないうちに読んでみた。

ハルク・ホーガンというプロレスラーの名前を聞くと、自分(源九郎判官義経)のことかと思う、と初っ端から義経がアホなことを言う。
なんでやねん。
千年後(つまり現代)に転生した義経が、自分の生涯を振り返って語る、という体裁なのだ。さすが町田康、設定がすでにパンクだ。
台詞はすべて超絶コロキアル。現代の日本人が日常的に話しているレベルの、いやそれより相当に砕けた会話で、時に上方落語のようになったりもして、なんとも言えないグルーヴで話が転がって行く。
義経を始めとする登場人物の常軌を逸した行動も、そうやって彼らが語るのを聞くと、なるほどそういうわけでそんな事に、と理解できる。いずれにしても現代人の感覚からすると到底マトモとは言えないけども。
途中で気付いたが、この『ギケイキ』はまだまだ続くのだな。この「千年の流転」ではとりあえず、義経が平泉に行ったものの退屈して京都に戻ってきて、そこには書写山で狼藉の限りを尽くして逃げてきた弁慶がいる、というあたり。話はこれからだ。