野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

あたごのまつでホタルイカ沖漬けとか

夕方から会議をブッ込まれて、遅くなりそうだったので晩飯は堺東あたりで食べて帰ることにした。
で、「とっつぁん系 おかあちゃん」。
ややこしい名前だが、「地魚屋台とっつぁん」の系列の「おかあちゃん」てことかな?とっつぁんって結構あちこちに店舗があるのな。
まあとにかくこの店は久しぶりだ。軽く5年以上は来てないが、なかなか長いことやってるなと思う。
そりゃもちろん安くて美味い人気店なんだけど、いろいろ厳しいご時世だし。
こういう、海鮮系に強く高コスパな「海の家系居酒屋」が多く出てきたのは2010年前後ではなかったかと思う。
わたくしが最初に認識したのは茨木の豊丸だが、その後数年の間に似たような業態の店が雨後の筍のごとく乱立したものだ。
いやそれはちょっと言い過ぎだな。でも、似たような店が増えたな、という印象はあった。磯丸水産豊丸のパチもんだろうと思っていたが、どちらが先にできたのだろう?
ちょっと調べてみたところ、磯丸水産を運営しているのはSFPホールディングス株式会社で、2009年2月に東京都武蔵野市にオープンした吉祥寺店が1号店らしい。うむ、微妙だな。初めて豊丸に行ったのは2010年の4月だが、それより少し前からあの店はあったから、ほぼ時期を同じくして出来た店なのだろうな。
お、最も古い食べログのレビューは2008年11月。ということはやはり豊丸の方が古いのか。
その豊丸を現在運営しているのは「めっちゃ魚が好き!!株式会社」(なんちゅう名前だ)で、これは「はなの舞」などを経営するチムニー株式会社のグループ会社で、チムニーの会社沿革によると、2013年の8月に

豊丸など居酒屋8店舗とラーメン店1店舗を事業譲受。新会社を「めっちゃ魚が好き株式会社」と命名

とのことである。

ちなみにチムニー株式会社のグループには丸の内の「ビアチムニー」もあるようだ。これって10年前にアホほどビール飲んだ店じゃないか。
“「磯丸水産」上場で過熱する、海鮮居酒屋戦争”なんていう東洋経済の記事もあったのだな。2014年12月の記事だ。

で、とっつぁん。こちらは「株式会社どん」の経営だ。なんと、吾作どんと同じ資本だったのか。

チムニーやSFPホールディングスのような大手ではないようだ。
天六にとっつぁんの1号店ができたのは平成19年ってことは2007年か。こっちの方が古いな。
しかし、最新と思われる株式会社どんのウェブサイトを見ると、鮨の店舗ばかりになっており、とっつぁんが消えている。

うーむ、とっつぁんはリストラされてしまったのだろうか。心配だ。

あるいは屍肉に群がるハイエナか

南茨木TSUTAYAが閉店するらしい。
そもそもCDが売れずサブスク全盛のこの時代、まあ自然な流れと言えなくもないだろう。
で、閉店にともなってCDやらDVDを叩き売りしている。
もう少し早く行けば掘り出し物もあったのかもしれないが、かなり出遅れたので、あまり大したものは残っていない。
そんな中でもせめて、ということで斉藤和義のCDを買い漁った。
『月が昇れば』、『斉藤』、『和義」、そして『ARE YOU READY?』、しめて税込1,100円。何だか火事場泥棒になった気分だ。
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いずれもApple Musicで聴けるものばかりだし、あえてCDで買わなくてもよさそうなものだが、どうもApple Musicを信用し切れないし、GAFA帝国主義に屈してしまうのがどうも嫌なのだな。
などと言いつつも、そもそもTSUTAYAが閉店してCDを叩き売りせざるを得なくなる、ということ自体、サブスクによるCDレンタルというビジネスの駆逐という事象のひとつの側面であり、わたくしもそれに加担しているのだと思うと何とも微妙な気分になる。
ちなみに『斉藤』収録の「パズル」だけはどういう事情があるのか知らないがApple Musicでは聴けない。もともと関ジャニ∞のために書いた曲とのことで、その辺が関係していたりするのだろうか。

Apple Musicの『月が昇れば』の紹介には「オープニングの“COME ON!”はプライマル・スクリームを彷彿とさせる南部的なロックンロール・ナンバー」なんて書いてある。

どれどれ、と思って聴いてみたら本当にそのまま“Country Girl”でちょっと笑った。あと『斉藤』の2曲目“Hello! Everybody!“もストーンズっぽいギターのリフでカッコええですな。そういえば「やさしくなりたい」のギターもちょっと“Layla”っぽいのよな。
そんなわけであれこれ聴いて、再生回数が急上昇中。
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それにしても最近中古CDばっかり買っとるな…

今年は早めに

ここ4〜5年ほど、年賀状はキンコーズで印刷している。
今年は年賀状でなく喪中ハガキだが、どちらにしてもキンコーズだ。
ただ喪中ハガキの場合、通常の年賀状よりも早く動き始めなければならない。
ということで喪中ハガキを手配するのだが、今年は例年よりも進化させ、宛名書きもキンコーズに依頼することにした。
そにためには、所定のフォーマットのExcelシートに入力した送付先住所のデータを用意しなければならない。よし、ではちょっとがんばってみよう。
ということで、もう何年もバージョンアップしてない宛名職人19の住所データを、まずはCSVで保存することにした。
宛名職人にはエクスポート機能がある。「ファイル」メニューの中の「書き出し…」を選べばよい、はずなのだが。
実際「書き出し…」メニューで住所録をCSVフォーマットで保存しようとしたのだが、エラーになった。エンコーディングがASCIIでは保存できない、と言ってくる。
うん、そりゃまあそうだろうよ。漢字もたっぷり入っているからな。
だからエンコーディングを変更すれば良いのだ。書き出し先のファイル/フォルダを指定するためのダイアログボックスでエンコーディングを選択できるようになっている。はず、なのだが。
こいつが、エンコーディング選択のためのコンボボックスを選んでも、うんともすんとも言わない。
どないせえっちゅうねん。
ひどいバグだ。ロクにテストもしてないのか。
と思ったが、この宛名職人19って相当古いバージョンだから、昔はちゃんと動作していたのだけど、OSのバージョンアップを繰り返すうちに、対応しきれなくなったのだろうな。
それでは、ということで住所録のデータをExcelにコピペしようと思ったら、こいつがうまくいかない。
フィールドを1個ずつ選択すればできる。けど百件近くあるデータでいちいちそんなことやってられるかボケ。
となると、やはりソフトを最新版にアップグレードするしかないわけか…
(それで解決する保証なんぞ無いけど)
調べてみたところ、最新版であるVer.27へのアップグレードが、ダウンロード版で税込み¥7,590だ。
年に一度宛名印刷をするだけのソフトウェアに¥7,590というのがどうにも釈然としないが、背に腹はかえられない。
幸いにして、最新版にしたらちゃんとエンコーディングの選択ができ、CSVで保存できた。
が、CSVの中身を見ると、いくつかのレコードで姓と名の間に謎の改行が入ってしまっている。
原因はよくわからない。すなわち、対策の施しようがない。
仕方がないので、一部壊れたCSVExcelに読み込んだ上で一件ずつ手で修正した。まあ、10件もないので、できない話ではない。
けどあんまりにもポンコツすぎやしないか?
相当に苛つかされたが、なんとか住所データをアップロードし(本当はここでも一苦労あったのだが話が長くなるので割愛する)、宛名印刷を含めて発注完了。長く苦しい戦いだった。
送料をケチってしまったので、店頭まで受け取りに行かなければならない。
どこまでも面倒くさいなあもう。

GoTo雪国

この年末年始は実家に帰らないつもりでいる。
すでに実家に両親はいないわけだし、今の状況で友人と飲み会したりというのも憚られるし、そもそも今年はもうすでに3年分ぐらいは帰ったし。というようなわけで。
だから、大阪で年末年始を過ごすことになる。
実は、実家以外で年を越すのはこの歳になって初めてだ。我ながらちょっとびっくり。

なのに、タイヤをスタッドレスに交換した。
雪道なんか走らないのに、何でよ?てなもんだが、オートバックスのタイヤ保管サービスの期限が切れるのだから仕方がない。
あらためて、あのサービスの恐ろしさを痛感している。一度でも利用してしまうと、簡単にはやめられないのだ。
後のタイヤ保管の心配をせずにやめるには、次にノーマルタイヤに交換する際に、外したスタッドレスタイヤを預けずに廃棄するしかない。まだ3シーズンほどしか使ってないのに。いや、もちろん廃棄せずに持って帰ったって良いのだが、あんなもん決して広くないわりにモノが溢れているうちのマンションのどこに置けば良いのだ。ベランダかなやっぱり。じゃベランダまでどうやって持って上がるんだ?エレベーターで一本ずつ?エレベーターから部屋までは転がしていくのかな。でもさすがに部屋の中を転がすのは気がひけるし、てことは玄関からベランダまでは担いで持っていくのか?ていうかベランダだってそれなりにモノがいっぱいだぞ。
…などと考えるだけでうんざりする。
タイヤについての悩みは、尽きることがない。

あの瓶一本分てあんたそんな

一蔵で「大黒正宗の会」をやるという。いろんな大黒正宗に、料理を合わせて出してくれると。
そして、昨年の千喜千輝での会と同様に、蔵元の営業である池田さんも登場する。

そりゃ行くよねもちろん。

いきなり純米大吟醸。そして生ハムと柿にキウイ。
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ほほー。

次は鯛と冬瓜のカボス和えに、純米吟醸 兵庫夢錦
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冬瓜をスライスしてある。なるほどー。これいいな。

ここから先は燗酒になる。
黒ムツ。で、一ツ火 兵庫夢錦
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ぐふ。こんなんちまちま突つきつつダラダラ飲んだらエンドレスやんかいさ。

などと、だいぶええ塩梅になってきたところにローストビーフ+ウニ+イクラ。純米原酒 特A山田錦
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こんなんしたらアカンやろ…
ローストビーフ、ちょっと出汁きいてやがんの。くー。

今度は唐揚げとか出てきよったでおい。特A山田錦とともに。
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この唐揚げってのがちょっとタンドリーチキンっぽい味付けで、いやいやこんなもんに日本酒合わせるんかいな?
と思ったらアンタ、これがまた悪魔的に合うわけよ。
たまらん。アカンわー。こんなんしたらアカンわー。

そしたらさらにパテなんか出てきて。
パテて。そんなんこの店で出てきたこと無いやんけ!
しかもどえらい美味いやんけ。レーズンが入ってて、それがまた大黒正宗で漬けたやつてか。
びっくりして写真撮るのん忘れたやんかいさ。
こいつには純米吟醸 無濾過生。

いやもう参りました、となったところにシメの牡蠣ご飯。
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牡蠣の火加減が絶妙すぎて泣く。

という感じで全6種類。呆れたことに一人あたり4号飲んだことになるんだそうで。
いやしかし確かに。帰り道はなかなか酔っ払いでフラフラでしたわ…
一蔵… 恐ろしい子

そろそろポイントオブノーリターン

「人新世」と書いて「ひとしんせい」と読む。
え、そうなん?と思ったが別に「じんしんせい」でも良いらしい。どないやねん。
地質時代区分のうち最も新しい(つまり現代を含む)のが「完新生」である。地質学的には同じ完新生であっても、ある時点から人類が地質や生態系などの地球環境に与える影響を無視できなくなったあたりを始まりとして、「人新世」と呼ぶのだそうだ。
どうも最近やたらと「**の資本論」を読んでいるような気がするが、それならやはり『人新世の「資本論」』は読んでおかねばなるまい。

人新世の「資本論」 (集英社新書)

人新世の「資本論」 (集英社新書)

気候危機は、そろそろ取り返しのつかないところまで来ている。
20年前だったら、うんまあそういう可能性もあるかもね、ぐらいな感じだったが、今なら肌感覚として、確かにその通りだな、と理解できる。
人新世における人類の営みのアウトカムが気候危機であり、その先にあるのはカタストロフィである。人類の営み、ことに経済活動は資本主義によりドライブされている。
自身を増殖させ続けるのが資本というものの本質であり、資本主義は、終わりのない成長を前提としている。そして、資本の増殖は「外部」からの収奪により成り立っており、常に「外部」を必要とする。
「外部」とは、帝国の植民地であったり、開発途上国であったり。最近ではリアル空間を食い尽くしてサイバー金融空間に手を広げてみたり。
ということは「外部」が無くなってしまえばそこで終わりじゃないか、と思うのが普通だ。
そう、そろそろ終わりが近づいているということだ。
資本が外部から収奪する時にはまた、それに伴って発生する数々の不都合も外部に押しつけてきた。数々の不都合とはつまり、環境汚染、種の絶滅、健康被害、といった諸々だ。
今までは目を背けていれば視界に入らず、意識しないようにできた。あるいは、意識している場合にも、カーボンオフセットとかフェアトレードという免罪符を購入し、やましい気持ちをさほど感じないで済むようになっていた。
が、そろそろそれも限界に近づいており、外部に押し付けていた不都合は、我々自身にとって様々な形での災厄として降りかかりつつある。
テクノロジーの発展が種々の問題をいずれ解決してくれるだろう、というのはあまりにも楽観的すぎる見通しである、と作者は書いている。そういう予測をたてる学者たちの説をすべて粉砕している。
結局は、資本主義にブレーキをかけるしかない、ということだ。そして、資本主義の前提となっている「成長」に対する信仰をやめよう、と。
つまり「脱成長」だ。
しかしこの「脱成長」は「緊縮」と一緒くたにされやすいし、文明を否定して石器時代に戻れというのか、とか、お前はアカか、みたいな極論になりがちなようで。
簡単な話ではないですけどね。どなた様も一度、じっくりこの本を読んで考えてみてほしいな。

唸るだけじゃないんだぜ

新譜の"Budapest Concert"を聴いたついでに、Apple Musicでキース・ジャレットの古いアルバムをあれこれと聴いてみている。
わたくしが初めて聴いたキース・ジャレットのアルバムは“Treasure Island”で、これは今でも好きで時々聴いている。

なので、いわゆるアメリカン・カルテットの諸々のアルバムが好みかなと思ったが、わりとフリー系の延々とインプロヴィゼーションが続いてちょっとしんどいな、と感じるものもある。特に“Backhand”の“Kuum”とか、“Death and the Flowers“あたりの、キースがフルートを吹くやつは、どうも苦手だ。”Survivor‘s Suite“も、ちょっと一曲が長すぎちゃうか、という頭悪そうな感想を持ってしまう。ヨーロピアン・カルテットは今まで”Personal Mountains“ぐらいしか聴いたことなかったが、こちらは”My Song“も”Belonging“も“Nude Ants”も、なかなか好みだ。まあ、取っ付きやすい、ということなのだろうとも思うが。あと、ポール・モチアンチャーリー・ヘイデンとのトリオについては”Life Between the Exit Signs“、”Somewhere Before“のいずれも好みで、しかしこのパーソネルは要するにアメリカン・カルテットからデューイ・レッドマンを抜いただけなのだから、そうするとわたくしはデューイ・レッドマンに対して何やら含むところがあるのか、というような話になる。(ちなみにApple Musicでは”Life Between the Exit Signs“は「キース・ジャレット」、”Somewhere Before“は「キース・ジャレット・トリオ」名義になっていてややこしい)
とはいえ“Death and the Flowers“にせよ”Survivor‘s Suite“にせよ、じっくり聴くとこの辺もなかなか味わい深かったりもする。どないやねん。
なお“Restoration Ruin”ではキースが歌っていて驚いた。そんなこともやっていたとは。でもこれは一回聴いたらもういいかな。というか最初の2曲ほどしか聴いてないけど。
これらに加えて、スタンダーズ・トリオ、ソロ、さらにはクラシックなど含めてそれはもう膨大なアルバムがある。一生かかっても全部は聴けないんじゃないかという気がする。