『十二国記』revisited企画、今度は『東の海神 西の滄海』、舞台は雁国だ。この国の延王は『月の影 影の海』にも前作の『風の海 迷宮の岸』にも出てますな。その前作ではこの十二国記の世界(「常世」と言うのだそうな)における麒麟システムについて説明していたが、王と麒麟の関係性というのは、単なる主従関係でなくそれぞれのキャラクターによって様々なバリエーションがあるのだ、ということを示している。
東の海神 西の滄海 十二国記 (講談社X文庫―ホワイトハート)
- 作者: 小野不由美,山田章博
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1994/06/05
- メディア: 文庫
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それにしても一昨年ぐらいからだろうか、「忖度」という言葉が人口に膾炙するようになったのは。それまではかなり特殊な単語で、日常の会話の中で使われることはないとわたくしは思っていた。だからNHKが国会議員の意図を忖度して番組内容を改変した、という事案についての報道を見て、うわこんな言葉を使っとる、と少し驚いたのだ、それが2007年のこと。『東の海神 西の滄海』はそれよりもさらに前の作品だ。が、この物語で更夜はすでに「忖度」をしている。それも、まさに今の日本で官僚たちが暗愚な宰相の尻拭いのために強いられている、あの「忖度」だ。更夜の親分は決して更夜に具体的な指示は出さない。なにか困ったことがあった時、それが何によって(誰によって)起こっているのかをそれとなく更夜に伝えるだけだ。うーむすごいな、時代を先取りしているじゃないか十二国記。