野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

こらスゴいわ

現代日本を代表する、最高クラスの知性。そんな二人による対談だから面白くないはずが無い。養老孟司玄侑宗久の対談集、「脳と魂」。

脳と魂 (ちくま文庫)

脳と魂 (ちくま文庫)


僕はあのベストセラー「バカの壁」は読んでない。だからあの本についてはどうこう言うことはできない。しかし、あれだけ売れた本が、Amazonのレビューなんかを見ると必ずしも評判が良いばかりとは言えないようだ。この対談を読んで、そのあたりの理由が何となくわかるような気がした。どんなことがどんなふうに書かれているのか知らないけど、たぶん、見ようによっては単にヘンコなジジイのヨタ話に過ぎないのだろう。そういうの、お好きではない人っておるよなあ、と思った。
この対談だって、ヨタ話といってしまえばそうかもしれない。だけどこんなスケールがでかくて多岐にわたるヨタ話を、あのテンポでできるってすごくないか?300ページにも満たない本だが、ずいぶんと中身は濃いと思うな。
一番面白いのはやっぱり第四章の「脳と魂」だ。記憶というのは西洋の科学に由来する還元主義では理解できない。あれは「システム」だから。そして、魂も細胞も「システム」。色即是空の「空」はカオスのこと?なんだかスゴいぞとにかく。一気に読んだら消化不良だ。