詰めが甘いんだから

「螺鈿迷宮」読み終わった。

螺鈿迷宮 下 (角川文庫)

いや面白いですな。この後半で、いよいよ氷姫が本領を発揮し始める。時期的には、「バチスタ」と「ナイチンゲール」の後の話、という設定かな？これらの物語でちらっとだけ出てきた人物が今回は主役に近いところに出てきたり、あるいは逆に、以前の話での主要な人物が今回ちらっと顔を出したり。もっともダンゴ親父白鳥はほぼ出づっぱりだけど。そして、続編をぷんぷん臭わせるラスト。文庫の解説にも書いてあるように、まさに「桜宮サーガ」という趣になっているな。
そしてこれだけ高いリーダビリティのエンタテインメントでありながら、作者が現役の医師として、医療の現場をとりまく環境などについての問題提起をさりげなくあちこちにもぐりこませているというところか。もっともAi（オートプシー・イメージング）については、またAiかよ、という感じがしなくもなかったけど。
イノセントゲリラとジェネラルルージュをはやく文庫化してくれないかな。