野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

結局またエーアイだけど

先日、「螺鈿迷宮」を読んだ感想を書いたエントリに「早く『ジェネラル・ルージュの凱旋』も文庫化してほしい」と書いたら、なんと翌日に文庫版がリリースされた。ちょっとビビった。

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)


ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)

ジェネラル・ルージュの凱旋(下) (宝島社文庫)


数日後に購入したが、今まで読まずに放置していた。「螺鈿迷宮」を読んだばかりだったので、なんとなくもったいなくて。というか、バランスをとりたくて。これは人によると思うのだけど、わたくしの場合は、あまり立て続けに同じような本ばかり読まないようにしているのだ。軽いものを読んだら、堅いものを、みたいな感じでね。

さてこの、例によって田口・白鳥コンビがあーたらこーたら、という小説だが、いやはや面白いですな。確か「螺鈿迷宮」の解説だったか、「桜宮サーガ」と称したが、うまいこと言うものだ。最初のところが「ナイチンゲールの沈黙」と同じなのだ。ひょっとして前に読んだのと同じ本を、間違ってまた買ってしまったか、と一瞬あせった(以前にそういう経験アリ)が、そうではない、スタート地点は同じだが、そこから別の物語が始まる。そして、それは「ナイチンゲール」とつかず離れず、登場人物を共有しながら同時並行的にどんどん展開していく。「ナイチンゲール」だけでなく、「螺鈿迷宮」もまた、少し遠巻きにしながらも、ちょいちょいと絡んでくる、という複雑さ。複雑だけど、リーダビリティはまったく損なわれていない。このミステリはすごいぞ。
いや、ミステリじゃないけど。