日露戦争において東郷平八郎が連合艦隊司令長官に任用された理由というのは、「何だかしらんがやたらと運が良い」からだった、と司馬遼太郎の「坂の上の雲」に書かれていた。実を言うとこれは偶然ではない、と自身が合気道の使い手でもある内田樹先生は、「知に働けば蔵が建つ」において以下のように書いている
武人の常識は「用のないリスクを犯さない」ことであるが、それが累積すると、いつか人々は「凶事に出会わぬ運の良い人」だとみなすようになる。けれども、その幸運を呼び込んだのは本人の身体感覚の洗練、気の錬磨の手柄である。
自身の心がけ次第で、幸運を呼び込み、強運を身につけることができる、というわけだ。
上の話とはちょっと違うけど、運をつかむために、具体的に、何を、どういう風に心がけたら良いの?ということを書いたのが、あの勝間和代さんの「起きていることはすべて正しい」だ。
起きていることはすべて正しい―運を戦略的につかむ勝間式4つの技術
- 作者: 勝間和代
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2008/11/29
- メディア: 単行本
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下手すると「スピリチュアル系ですか?」となりそうだけど、そじゃなくて、もっとロジカルでプラクティカル。これはもう「技術」だから。
本来わたくしは、この手の本って実はちょっと苦手。宗教がかったようなのはもちろんヤだし、そうでなくても何だか説教じみてたり、自慢たらしかったり。でもそういう臭いは排除されていて、あくまでクールなので、とても読みやすい。
この人のプラクティスというのは、正直、「ちょっとついてけねーな」というのもあって、全部を真似する気にはとてもならない(し、全部を真似するべきでもないだろう)。けど、参考になるしパクりやすそうなのもけっこうある。「三毒追放」:妬まない、怒らない、愚痴らない、とかね。んーでも「怒らない」は結構むずかしいかも。
ちょっと気になるのは、なんか文章のつながりが変だったり、日本語が不自然だったりするところが結構あること。以前読んだ「読書進化論」ではあまりそんな印象は受けなかったのだけど。編集者のチェックが甘いのだろうか。良い本なのに惜しいことだ。