野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

だってエクストリームなんですから

ピアソン・エデュケーションの「エクストリーム・プログラミング」シリーズ、今回は「懐疑編」というのを読んでみた。

XPエクストリームプログラミング懐疑編―XPはソフトウェア開発の救世主たりえるのか (The XP Series)

XPエクストリームプログラミング懐疑編―XPはソフトウェア開発の救世主たりえるのか (The XP Series)

  • 作者: ピートマクブリーン,Pete McBreen,村上雅章
  • 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本
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副題は「XPはソフトウェア開発の救世主たりえるのか」。答えは… 「そのままではNo」ていうところか。XPは素晴らしいソフトウェア開発方法論の一つである。これはおそらく間違いの無いところ。しかしながら、それではあらゆる組織・プロジェクトに対して適用可能か、というとそれは違う、ということになる。アリスター・コバーンも「アジャイルソフトウェア開発」の中で同様の見解を提示していた。ある一定の条件を満たせば、XPを適用可能で、その場合には非常に生産性が高く、高品質なソフトウェア開発ができる、だが何でもかんでもXPというわけにはいかない、それはとても危険な考えだ、というのがとりあえずの結論ではないかと思う。本書の最後のほうに、このようなプロジェクトに対してはXPが最適である、というような条件が10項目ほど挙げられていた。これだけの条件を満たすことを考えたら、XPを適用可能なプロジェクトなんて、ほとんど無いように思えるのだが… でもおそらくそれが事実なのだろう。
本書では、従来からのソフトウェア工学的な開発方法論、そしてそれに対するアンチテーゼとしてのXPについて、それぞれ「何を恐れているのか」、つまり回避したいと思っているリスクは何なのかを仔細に検討し、とりあえず上記のような答えを出している。
いずれにせよ、やはり「銀の弾丸」は存在しない。それではどうすれば良いのか、という問いに対しての具体的にしてクリアカットな答えも無い。そんなものがこの手の本を読んで簡単に手に入るのならば、世の中のコンサルタント達はあっという間に仕事を失う。