鳩山首相、辞めてしまうのか。思ったより早かったなと思う。「まあいろいろ大変だったよね」と、わたくしは割と同情的だ。
そんな時期にタイムリーなんだかどうだか良くわからないけど、ウチダ先生の「街場のアメリカ論」が文庫化されたので、さっそく買って読んだ。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/05/07
- メディア: 文庫
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ウチダ先生の専門はフランス現代思想である。つまり、「アメリカ論」なんて専門外、ひらたく言えば、素人だ。でも、だからこそ、素人であることによるアドバンテージがある。アメリカ問題の専門家には決して立てることのできない問いを立て、それについて考えることができるのだ、とウチダ先生はおっしゃる。
なるほど。
まあそんな調子で、ファーストフードから戦争やらキリスト教やらシリアルキラーやら児童虐待やら… いつもの調子でそれはもう縦横無尽だから、そりゃもう面白いに決まっている。
色々ある話のなかのひとつ。アメリカには「子ども嫌いの文化」というのが無意識にあり、それが例えば映画なんかでは、「邪悪な子供」として繰り返し現れてくる、という。で、「チャイルド・プレイ」とか「エクソシスト」とか「オーメン」なんかで見られるのが、「邪悪な魂が無垢な子供の中に入り込む」という話型。これは日本の「鉄人28号」から始まって「ガンダム」等に至る「無垢な子供の魂が巨怪な暴力装置の中に入り込む」という説話群と逆の構造である、と指摘される。おお、そう言われれば。なんだかレヴィ=ストロースの神話論理みたいじゃないか。
そうして次に、いま読んでいる「芸術人類学」につながるのな。