野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

丸呑みせずによく噛んで

「いまを生きるための教室」なんて本があって、なんでも10年ぐらい前に出ていたらしい。それが今回、若干の修正を加えたかたちで文庫化の運びとなった、と。
んでそのうちのひとつ「死を想え」。国語、社会、英語、数学、などなどの「教科」ごとに各界の専門家(?)が「死」をお題にあれこれと書いてらおられるわけですな。養老孟司せんせとか池田晶子さんとか島田雅彦さんなんてビッグネームもあります。

いまを生きるための教室  死を想え (角川文庫)

いまを生きるための教室 死を想え (角川文庫)


一応は、中学生ぐらいが対象読者ということになっているらしいが、そこはそれ、この執筆陣だから、そりゃもうレベル高いですよ。まあ中にはちょっと、何だそれ、みたいなのもあったりはするけど(どれとは言わないけど社会科とか)、その辺はご愛嬌。テーマがテーマだし、かなりラディカルな論考というのが繰り広げられておるんですなあ。ただし、なまじ語り口が平易なので、じっくり噛みしめながら読まないとつるつるっと何かが通り過ぎて行っておしまい、てなことになりかねない。いや、実はけっこうそんな感じになってしまったかも。池田晶子さんなんか、他の本もそんな感じだから。その辺ちょっと注意が必要だけど、なかなか読み応えあり、ですよ。