野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

そんなに猫が好きなのか

「人間の叡智」なんてずいぶん堅い感じのタイトルだけど。やっぱりマサルちゃんの本は定期的に読みたくなりますな。

人間の叡智 (文春新書 869)

人間の叡智 (文春新書 869)


「食うか・食われるか」の弱肉強食の原理にもとづき、だけど戦争はできるだけ避けながら国際社会で非難されないギリギリのところまで、自国の利益を最大限に主張する。現代はそんな新・帝国主義の時代である。国際環境は危険がいっぱいで、ぼーっとしてるとあっというまにそんな帝国主義国に食い物にされ、むしり取られる。だから、情報収集とその分析、そしてその分析に基づいて自国の国益を最大化できるような「物語」を構築する能力というのが死活的に重要である。これがまさに「叡智」=インテリジェンスというわけだな。
彼の他の著作と、書いてある内容は基本的に同じであるが、今回は特別に語り下しでわかりやすく、という方針で作られた本らしい。確かにわかりやすくなっている。ちょっとでも気を抜くともうダメだけど。でもやっぱりこの人のクールかつリアリスティックな視点と透徹した論理っていうのは、「そんな考え方をするのか」とちょっと驚かされながらも、読んでるとなんとなく自分も賢くなったような気がしてくるという、ある種の魔力みたいなものがあるなあと思う。
という感じで、今回も満喫いたしました。