野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ラスプーチンの懺悔と告発

佐藤優氏の月間執筆量は原稿用紙1,000枚だそうだ。えげつな。
「外務省に告ぐ」が文庫化されている。

外務省に告ぐ (新潮文庫)

外務省に告ぐ (新潮文庫)

「外務省のラスプーチン」と呼ばれて暗躍していた佐藤氏だからこそ知り得た外務省のダークサイドを告発する。そして、外務官僚の語学力をはじめとして、外務省という組織全体が、もはや国益を毀損するほどに劣化してしまっていることを憂え、吼える。同時に、著者自身がインテリジェンスの仕事に従事していたときに手を染めた犯罪行為についても告白し、謝罪する。
むかし某外務大臣が外務省を評して「伏魔殿」と言ったことがあった。あの某外務大臣そのものについては、まぁちょっとどやねんと思うところも多々あるのだが、少なくともこの本を読めば、なるほど確かにこりゃ伏魔殿だなと思わずにはいられない。
見た目も文体もコワモテな佐藤氏だが、今回はゴリゴリの国家主義者の顔も見せながら、いつもより体感温度が2度ぐらい高い気がする。ずっしり濃厚だ。お腹いっぱいになった。
そんななかで原田マハさんによる文庫版の解説が、ちょっとふざけていてイイ感じ。