そもそも断食芸人なんて実在したのか?それってジャック・クリスピン的な何かじゃないのか?と思ったが、どうやら実在したらしい。しかし他人の断食のいったいどこに、エンターテインメント性があるというのだろう。しかも、その期間たるや最長で40日にも及ぶという。気の長い話だ。というかそうやって少しずつ誰かが空腹で死にかけてゆくのを観て喜ぶなんて、どうも趣味が悪すぎるように思う。不浄観みたいなもんか。いやあれは娯楽じゃなくて修行だぞ。もっとも、中世というのはどうにも残酷で野蛮な時代であったらしい。公開処刑だって娯楽のひとつだったっていうんだから。
いや、「断食芸人」が中世の話かどうかは知らんけど。
まあ何でもよろしい。結局この話はわたくしにとっては、ひと言で申し上げるならば「だから何?」というものであったということだ。でもこのシュールな感じは嫌いじゃない。それにボルヘスよりは多少読みやすいかもしれない。それにしてもこの小説は紙の本で読みたかったな、なんとなく。