野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

あんたこんなとこにおったんかいな

優れた技術により市場で確固たる地位を築いている大企業が、新興企業の性能で劣る製品やサービスによっていつの間にかシェアを奪われ、駆逐されていく。
クレイトン・クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』でこの現象について分析し、さらに『イノベーションの解』および『イノベーションの最終解』でその破壊的イノベーションの類型、対処方法等について語ったわけだが、いやあしかしそうは言ってもなかなかねぇ。
既存の事業を行う組織では、それに対して破壊的イノベーションでディスラプションを仕掛ける新しい事業はできない。既存の事業が上手くいっているほど、難しい。だから別会社にスピンアウトするとか社内ベンチャーにするとか、とにかく別組織にせよ、とクリステンセン教授は言うわけだが、そこをまた完全に分離してしまうと、新規事業の組織から既存事業の組織が保有するいろんなリソースへのアクセスができなくなったり、それはそれで難しいわけですよ。
なので、そのあたりをいい感じでバランスさせて上手くやれ、すげえ難しいけどな。そこはトップマネジメントの覚悟と力量にかかってるんだぜ、というのがこの本の主旨、かな。何だかなあ。
既存事業の深化(exploitation)と新規事業の探索(exploration)の両方をバランスさせながら進めること、これがすなわち『両利きの経営』というわけだ。

それにしてもこのexploitationとexplorationの両立、ってどっかで聞いたことがあるような… と思ったら、ずいぶん前に読んだ『世界の経営学者はいま何を考えているのか』に書かれていたのだ。

というかその本の著者がこの『両利きの経営』の監訳者の入山章栄氏じゃないか。なんだそういうことか。