野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

あんまり十二神将は関係無いような気が

さる筋で話題になっていた『十二神将変』を読んでみた。

もともと古い小説なのだ。それが最近になって新装版としてリリースされたものであるらしい。
いやしかし、いくら古いったって70年代だろ。いきなり旧仮名遣いの文章でぬちゃーっとやられて、少しばかり戸惑った。
決して読みにくいわけではない。むしろ、独特のリズムには不思議な心地良さがある。
けれども、さくさくと読み進められるかというとそうでもない。全体に濃度が高いというかねっとりしていて、前に進むスピードは速くない。
一応はミステリー、ということになっているらしい。登場人物が死んでおり、その死因や前後の出来事には、不審な点が多々ある。
どんよりと退廃的な独特のテイストは、中二病っぽい一面もありながら、なんとも妖しく耽美的である。
ただしこの物語を本当に楽しむためには、仏教、茶道に謡曲、その他諸々についての素養を必要とされる。なかなか難儀な小説である。