野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

知らん店ばっかりですけどね

浜松では、飲み会の最初にみんなで乾杯するときに、その場の最年長者が「やらまいか!」と言い、続いて他のメンバーが「おいしょぉ!」と唱和する、という風習があるらしい。わたくしも実際その場に出会したことがある。というかその「やらまいか!」コールをやることになって戸惑ったものだ。
何じゃそら?と思うが、そに土地ごとに酒の飲み方に関する独特の風習というのがあるんでしょうよ。知らんけど。
『居酒屋と県民性』を読んで、上記の一件を思い出したのだった。

わたくしはどちらかと言うと、県民性なんてあてにならんよねと思う方だ。
でもやっぱり十分なサンプルを取って比較すると、そこには何かしら有意な差が出てくるものなのかもしれない。それがつまり県民性というものなのだろう。
で、さすが太田さん、全国47都道府県について、少なくとも1軒以上のオススメ居酒屋があるのだな。
47都道府県すべてに足を踏み入れるというだけでも簡単ではない(ちなみにわたくしが訪れたことがあるのは37都道府県だ)と思うのだが、それだけではなく各地で最低一軒以上、オススメの居酒屋を挙げられるというのは、並大抵のことではない。
それぞれの都道府県の特徴、県民性を簡潔に述べている文章がなかなか絶妙で、本当のところはどうかは判別できないけども、なるほどそうなのかと妙に納得させるものがある。普通に考えればネガティブなポイントも単なるディスりに堕すことなく、上手に紹介されている。
そういう意味では、表向き特定の県を過度に贔屓したり貶めたり、ということは無いのだが、しかし実際に紹介されている店の数には相当にバラツキがある。もちろんその軒数は当然ながら訪れる頻度・回数であったり滞在先の多寡に左右されるのだけど、やはりそれ以上の何かがあるような気がしてならない。いや、これもひょっとすると単なる言いがかりなのかもしれないけども。
まあそんなことは置いといて。とにかく楽しい本だ。
太田さんが書かれているのは、その通りだと思う。居酒屋は文化だ。