野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

今じゃ公務員でも副業できるんだぜ

妻がテレビで『御家人斬九郎』を観ていた。最近 BSフジで再放送をしているらしい。
なんでまた今ごろ斬九郎やねん、と呆れながらつい一緒に観てしまった。けっこう面白かった。
そういえばずいぶん昔に原作を読んだような… と思いつつ、年末に本棚の整理をした時に探してみたら、やっぱりあった。

というわけでこの正月は『御家人斬九郎』を読んで過ごしたわけだ。
時代設定としては徳川家斉が将軍で、江戸時代もかなり後期の方というところか。家斉の長年にわたる治世で、江戸幕府の政治が腐敗しているというのが物語の背景にある。だからこそ豪商と癒着し、不正をなす役人というのが次々と出てくるわけですな。
単純にエンターテインメントとして楽しめるのだが、江戸幕府の運営や組織体制、そして当時の社会情勢などがしっかり書き込まれていて、その辺ちゃんと読むとなかなか勉強になる。柴田先生かなりきっちり調べられたのでしょう。
テレビドラマではかなりマイルドにされているが、斬九郎とその母・麻佐女とのコミュニケーションというのが原作ではかなり過激で、斬九郎が「くそ婆ぁ」と呼ぶ麻佐女との口論が(斬九郎が在宅中は)絶えることがない、という。斬九郎が「かたてわざ」で収入を得ると、遊興に使い果たすまで何日も家に帰らない。帰ってきたら腹を減らした麻佐女が薙刀で襲いかかってくる。あるいは斬九郎が二日酔いで寝ているところに麻佐女が水をぶっかけて起こす、等々。まあ無茶苦茶ですわな。さすがに実写ドラマにするとリアリティが無さすぎて無理かもしれない。
リアリティといえば、本当にそんな喋り方するのかよ、という気がしなくもないのだが、斬九郎や西尾伝三郎、南無八幡の佐次、といった面々の台詞が、いかにも時代劇に出てくる江戸っ子という感じで実に調子が良い。これだけで結構楽しい。
これはやはりアレですか、まだ読んだことのない(そしてドラマも観たことがない)眠狂四郎シリーズもいっとかなあかん、ということでありましょうか。