野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

サケ飲むな!

『しらふで生きる』って確か、だいぶ前に朝日新聞の書評欄で見つけたんだったか。

だいたいが酒飲みというのは、何だかんだと理屈を付けては酒を飲もうとするものだ。
この著者は、ある日突然思い立って酒をやめた、という。
なぜやめたか、って別に理由なんて要らんだろうと思うのだが、ああでもないこうでもないとあれこれ理屈をひねくり回して、自分が酒をやめた理由を見つけようとする(自分でもよくわかっていないのだ)。
結局は「気が狂っていたからだ」というよく分からん結論に至るのだが、確かに一冊の本の半分ほどを費やして自分が酒をやめた理由について論じるなどというのは、頭おかしいとは言わないまでも、少しばかり常軌を逸している。
なぜ酒をやめたのか、そもそもなぜ人は酒を飲むのか、ではどうすれば酒をやめられるのか、酒をやめるとどうなるか。
この本に書かれているのは、要するにそういうことだ。
自分がアホである、ということを自覚すれば酒をやめられるのだそうだ。
よくもまあこれだけ延々とあれこれ理屈をこねくり回せるものだと思うが、その辺が町田康の天才たる所以であろう。
天才だから、30年間休む事なく酒を飲み続け、そしてある日突然酒をやめる。やる事が極端だ。
わたくしのような凡人にできるのは、せいぜい週2回ほど休肝日を設け、月に数回深酒をし、金と時間と健康と社会的信用を少しずつ失っていく、というぐらいなものだ。上等じゃないか。