何か災いがあった時には、これは○○の呪いである、てなことが言われたりする。その場所であるとか人に関係のあった誰かの怨霊によるものだ、と。
平将門、崇徳天皇、菅原道真あたりは、日本三大怨霊と呼ばれる有名どころであるが、それ以外にも実に多くの怨霊・悪霊の話が伝えられている。
そんな話を集めて、その怨霊たちが生前どういう人物で、どんな酷い目に遭って怨霊になり、後世の人々に災いをもたらすことになったのか、について考えてみる。『悪霊列伝』というのは、そういう本だ。
何らかの災いに対して、これは○○の怨霊によるものである、という場合、そのように言っている人々にとっては何かしらの「心当たり」がある。つまり、○○が怨霊となって祟ってもおかしくないくらいに酷い目に遭わせていたことを知っている(あるいはその当事者である)、ということではないか、というのだ。
なるほど、そうかもしれない。何かしら後ろめたいことがあるから、災いの原因が「○○の怨霊」のように思えてしまう、ということなのだな。
ちなみに、この本では日本三大怨霊のうち菅原道真が取り上げられている。
様々な記録からわかる生前の菅公の言動からすると、そんな恐ろしげなキャラクターではなく、確かに秀才なんだけどもちょっとショボい感じの役人、という人物像だったりする。せっかく「学問の神様」なんてありがたがられているのに、それちょっと残念な感じね。
それにしても日本の天皇家というのは、実に複雑でかつ血塗られた歴史を持っているのだなと感心する。もっともそんなのは日本だけでなく世界中どこでも王政の国の歴史なんてのは似たりよったりなのだろうけど。
こういう話を読む時は、すぐ横に家系図を並べてすぐに見られる状態にしておかないと、なかなか理解できない。そんなわけでこの本はKindleではなく紙で読んだ方が良い。ちょっと失敗したな。