野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

正解は「愛のバラード」です

今の50代ぐらいの人であれば誰でも、プールに潜って逆立ち状態になり、両脚を水面より上に出して「犬神家の一族!」なんていう一発芸を小学生とか中学生の頃にやったことがあるはずだ。
いや、誰でも、っていうのは言い過ぎか。でもクラスに必ず一人ぐらいは、そういうイチビった同級生がいたのではないか。
実際、わたくしはやってない。でもやっぱり、プールで「犬神家の一族」を披露する、イチビった同級生はいた。当時、テレビドラマ(おそらく1977年版)でやっていたのだと思う。ドラマは観ていなかったし、どんな話なのかも知らなかったけれども、あの衝撃的なビジュアルだけはなんとなく憶えている。
大人になってから、映画を観た。おそらく1976年版を、だいぶ後になってからだ。
ストーリーの細部はほとんど憶えていないが、例の湖面から突き出す二本足、不気味なスケキヨのマスク、そしてマスクを外しながら(だったかな?)発せられる「あおぬましずまだ」の台詞、等が断片的に記憶にある。
そういえばあの原作、読んでないな。と、ふと思って書店に買いに行った。これはなんとなく、紙の文庫本で読みたい。

大金持ちの相続に関連して発生する、連続殺人事件。こういう話って、まあありがちよね、とそんな感想を抱いてしまうのだが、それは昭和、平成を経て令和になってしまった今だからこそ思うのであって、当時は割と珍しいというか、斬新だったのかもしれない。物語全体の陰惨なテイストや、登場人物たちのステレオタイプとも言える悪人ぶりも含めて。ひょっとすると、この手の相続系連続殺人ミステリーの嚆矢であったりもするのだろうか。
そういえば、これって『ドラゴンタトゥーの女』みたい、と読みながら思ったのだが、発表された順番からして、パクったとすればドラゴンタトゥーの方だわな。

ちなみに、わたくしが初めてビートルズを認識したのは、『犬神家の一族』の映画で使われていた"Let It Be"である、とずっと思っていたのだが、今回改めて調べてみたらまったく関係無かった。"Let It Be"が使われていたのは1981公開の『悪霊島』だった。人の記憶なんてのはアテにならんもんですわ。