野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

よそ行きゴッチもええんでないの

隔週の水曜日の朝日新聞で、ゴッチが『朝からロック』というタイトルの短い文章を書いている。
これが毎週だったら、たぶんもうちょっとちゃんと読むのだけど、隔週だとけっこう忘れてしまうのだよな。だから読み損ねた回がたくさんある。
でも、きっとそのうちまとまって本になるだろうから、そんなに心配しなくて良かろう、と思っていた。
ほらね、やっぱり出た。

ということで、文庫になるのを待たずに買い求めた。
でも本当は、こういう新聞などの連載っていうのは、一定のインターバルで少しずつ読むのと、まとめて一気に読むのとでは、やっぱりちょっと雰囲気が違うのよな。本ではそれぞれの回の順番も変えてあるし。さらに、かなりの割合で含まれている時事ネタは、リアルタイムで読むのと事後的に振り返りながら読むのとではずいぶん印象が変わるものだ。
したがって、こうして本になったテクストは同じであるにもかかわらずオリジナルとは違う読み方をするわけだから、仮にすべての回をきっちり読んでいたとしても、改めて本を買って読むことには相応の意味がある、ということだ。
何度でもオールライトと歌え』を読んでゴッチの文章のファンになったわたくしなどからすれば、朝日新聞という媒体に隔週で、がっちり固定された枠の中に書かれたこれらの短いテクストに対して、決して戸惑いを覚えないわけではない。でもこれはこれでまた、今までとはちょっと違った魅力があるな、とも思う。
日々感じるあれやこれやの不満、不安、憤懣、違和感などを上手いこと言語化してくれるのだが、それらは決して、誰かを一方的に非難したり糾弾したり、というところには行かない。鬱憤を晴らしてスッキリ、とはならないけど、その分、ちょっとだけ深く、落ち着いて考えてみることができる気がする。