野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

マルクスは数学が苦手なんですって

ソヴィエト連邦は崩壊し、共産主義革命は失敗だったということがはっきりしてるのに、今さらマルクスなんぞ読んでどうするの?という人はけっこう多いのかもしれない。
マルクスってのは結構ロクデナシだったようで、まともに仕事もせず、金持ちのぼんであるエンゲルスにカネをたかっていたらしい。おまけにメイドとの間にできた子供を認知せずエンゲルスの娘ってことにしてしまったっていうんだからもう、鬼畜って言いませんかそういうの。
そして『資本論』の内容は、なんだか論理が錯綜していたり明らかな間違いもあったり、しかも実際に自分で書いたのは第一部だけで、第二部以降はマルクスの草稿をもとにエンゲルスが書いたのだとか。
そんなマルクスの『資本論』だけど、それでもなお、読む価値はある、いや読むべきである。しかしながら(様々な理由で)難解なあの大著を読むのは並大抵のことではない。ということで知の怪物・佐藤優がガイドして進ぜよう、という講座があったようだ。それが本になったのが『いま生きる「資本論」』。

いま生きる「資本論」(新潮文庫)

いま生きる「資本論」(新潮文庫)

好むと好まざるに関わらず、我々は資本主義システムの中に暮らしていて、そこでサヴァイヴしていくためには、資本主義の内在的論理(それにしてもマサルちゃんはこの「内在的論理」という単語をよく使う。この単語が出てこない彼の著作を、わたくしは見たことがない)を理解する必要がある。『資本論』はそのための非常に優れたテキストであるのだそうだ。
なるほど。貨幣とは何か。価値とはどういうものか、いかにして生み出されるのか。資本の本質とは。そういうラディカルな問いと、それに対して展開される議論はなかなかにエキサイティングで興味深い。
一方で、この本のそこかしこで『資本論』が引用されているのだけど、なるほどこれはとても自力で読める気がしない。
本題とは関係ないけど、この講義の途中何度も、『資本論』とその関連書籍について、「古本屋でXX円で売られていたら即買った方が良い」なんて言っているのが面白い。店主が値打ちを理解せずに叩き売りみたいな値段をつけているケースが時々あるようで。なるほど、と思うがわたくしは(多分)買わないな。最近、難解な本を無理くり読む根性が無くなった。やれやれ、情けないことだ。