野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

疑ってるわけじゃないんだけど

マルクス・ガブリエルが「哲学界のロックスター」なんてもてはやされていて、まあそれは別に良いんだけども、彼の言ってることってみなさん理解できるんだろうか?
恥ずかしながらわたくしにはいまいち理解できませんね。
いや、非常に興味深いことを言っていると思うし、その内容はなかなかに刺激的でもある。へええ、と驚くような指摘をする。
けども、うんそうだな、その通りだ、と納得できるかというと、そうではない。
『世界史の針が巻き戻るとき』を読むと、マルクス・ガブリエルによる真実存主義の理論を援用すれば、たとえば「世界は存在しない」とか、その他諸々、こんな知見が得られるし、あんなことが言える、と書かれている。
しかしながら、ほほうすごいな、でも何で?という疑問に対しての説明は、すくなくともわたくしにとっては、到底理解も納得もできるものではなかった。

ガブリエルもおそらくは、口から出任せのブルシットを撒き散らしている訳ではないはずだ。そこに至るまでの精緻な思考や論理の流れというものがあるのだろうけど、少なくともこういう新書ぐらいのボリュームで、しかもインタビューというような形式では、わたくしのような一般市民が順を追って理解できるように解説するのは難しい、そういうことなんじゃなかろうかという気がする。
だからといって二段組で600ページぐらいの、凶器になりそうなハードカバーなんかをカマされても、それはそれで持て余すような気もするけど。
ロックスターなんだから、ちゃんと一般大衆に対してもやる時はやる、という感じでキメてくれることを期待して、実は岩波新書の『新実存主義』を購入してある。
もう少し熟成させてから、手を出そうと思っている。