野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

テラの次はペタ

世の中にある諸々のことを取り扱うにあたっては、その量が極端に増えていってある一線を超えたとき、それまでのやり方がまったく通用しなくなり、根本的に考え方から変えないといけなくなることがある。つまり、量的な変化が質的な変化を引き起こすということだ。先日読んだ「過剰と破壊の経済学」もそんな話だった。そして、この10年ほどの間にムーアの法則もびっくりな急成長を遂げた企業といえばGoogleだ。あれだけのスピードで規模、つまり量が増えるということは、やはり技術的な側面においても普通でないやり方を必要とされているはず。それを、公開されている情報にもとづいて解説しました、というのが「Googleを支える技術」という本だ。

Googleを支える技術 ?巨大システムの内側の世界 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ)

Googleを支える技術 ?巨大システムの内側の世界 (WEB+DB PRESSプラスシリーズ)


Webの検索エンジンというだけでも、これを実現するのは結構大変なんじゃないかな、となんとなく想像はしていた。だけどそんなのはごく一部の話であって、実際にはもっと大変なことが山のようにあるのだ。そもそも、日々増えていっているWebサイトから取って来てインデックス化したデータベースを、どこに保存するの?といったあたりから始まり、Googleオリジナルの、各種の巨大分散コンピューティング技術であるGFS、Bigtable、Chubby、MapReduce等々についての解説が続く。いやはっきり言って、この解説はイマイチよくわからん。わからんが、非常識なまでに大量のデータを処理するためには、これだけ色んなことを考えないといけない、ということがよくわかった。「本書に寄せて」でまつもとゆきひろ氏も書かれているように、巨大データの分散処理っていうのは、今後のコンピューティング技術においてはもっともホットな分野のひとつになりそうな気がする。
さらに、純粋にソフトウェア技術の領域の話だけではなく、電力消費をいかに低減させ、ハードウェアの故障をどう予測するのか、といった問題もある。いやはや。
一番最後の章には、Googleの開発体制について書かれている。ここは一番ボリュームが少ない。もうちょっと書いて欲しかったけど、まあ本の主旨からするとオマケ的な部分なのかもしれないな。