野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

僕の好きな先生

ちくまプリマー新書でウチダ先生の「先生はえらい」という本があったから読んでみたのだが、対象は中高生だった。

先生はえらい (ちくまプリマー新書)

先生はえらい (ちくまプリマー新書)


まあ良いよ別に。中高生向けとは言っても、結構あなどれないのだウチダ先生は。しかし、紙が厚いなオイ。通勤電車の片道+αで読めてしまったぞ。
例によって、だいたいどれかの本で読んだ内容なのだけど。タイトルの「先生はえらい」はちょっと違うんでないの?先生がなぜえらいか、どのようにえらいのかが説明されてないぞ。
というのは誤読、誤解だろうか。実はこの本の中で、コミュニケーションというものは誤解を生じさせる仕掛けを構造的に抱えている、とウチダ先生は論じているのだ。相手の言うことを「理解してしまう」と、そこでコミュニケーションは終了してしまう。だから、できるだけ理解できない部分、よくわからない部分を残して、いわば宙づり状態のままで言葉をやり取りしながらコミュニケーションを続けようとするのだ、と。
かように、ウチダ先生の本は、おおっ、と思わせる部分が随所にありながらも、なんだかもう一つ良くわからん、という感じがつねにつきまとう。しかしながら、最初から最後まで何を言っているのかさっぱりわからないのであれば、二度と彼の本を読んでみようとはしないだろう。この、絶妙な「わけのわからなさ」のせいで、ウチダ本と見れば片っ端から読んでみずにはいられないのだろう。うまいことやりよるな。