「ローマ人の物語 39」、「キリストの勝利」の中巻を読み終わった。
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/08/28
- メディア: 文庫
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スカタン皇帝・コンスタンティウスが突然病気で死んでしまった後を継いだのは、ユリアヌス帝。後の世に「背教者ユリアヌス」として知られている、らしい。すみません知りませんでした。ただ背教者って言うけど、もともと別にキリスト教に帰依していたわけではないらしい。キリスト教をほとんど国教にしてしまったコンスタンティウスの後を継ぎながら、路線としては全く逆で、古くからのギリシャ・ローマの多神教(つまりキリスト教徒にとっての異教)を復活させようとしたわけだから、そりゃキリスト教徒からしてみれば背教者といわれても仕方ないのかもしれないけど。ちょっと理不尽な感じもしますわな。
コンスタンティウスが粛正した従兄弟の息子、まあ言ってみれば甥にあたるユリアヌスで、ずっとコンスタンティウスに飼い殺しにされる感じだったのが、どういうわけか成り行きから西方の副帝になり、さらにはコンスタンティウスを追い落とすとうな格好で皇帝になってしまった。わからんもんですなホンマに。いったん皇帝になってしまうと、けっこう理想に燃えて、あれこれ気合いを入れて構造改革みたいなことをやろうとしたわけだが、そんなことすれば当然既得権益を持つ層からは恨まれるわけで、そういうのはまあいつの時代でも同じですな。結局、帝位についていたのはたったの19ヶ月。最後は戦場で矢に当たって死んでしまうなんて。矢に当たってから息を引き取るまでの様子を、塩野さんまるで見てきたかのうように書いてらっしゃる。コンスタンティウスの時とあえらい扱いが違うじゃないですか。
さていよいよ、下巻に入ってきましたですよ。