はてなダイアリー、今週のお題は「夢」。
と思っていたらもう「ゴールデンウィーク」に変わっていた。ありゃりゃ。
「夢」だとちょうど良かったんだけどな。
ほら、「夢」といえば。フロイトですよフロイト。
いつかは手を出さないわけにはいかんだろう、と思っていたフロイト、とりあえず「精神分析学入門」を読んでみた。
- 作者: ジグムント・フロイト,懸田克躬
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1973/11/10
- メディア: 文庫
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この本は、いくつかの出版社から、すこしずつ違うタイトルで、複数の訳書が出ている。どれが良いのかよくわからなかったので、中公文庫のやつにした。上下に別れてないし、表紙の絵がクリムトだったから。ま、ジャケ買いってやつですな。何より総額も安いしね。
という感じで着手したものの、なんせ600ページを超える大著、何だかんだで一ヶ月ほどもかかってしまったではないですか。
それにしてもまあ、「精神分析は評判が悪い」って斎藤環せんせも書いてたけど、そりゃそうだよな、と思った。人間は誰でも、父親を殺し、母親と交わりたい、と無意識の欲動にドライブされているのだ、なんて言われりゃ「バカこくでねぇ」って思うわな普通は。おまけに夢の分析をしてみれば、ありとあらゆるものを性的なものと結び付けて解釈する、そのやり方は確かに強引で恣意的なように見えるし。きっと当時、各方面から攻撃されたのだろう。フロイト先生のものの言い方がそりゃもう言い訳がましいことこの上ない。これがこの本のリーダビリティを大きく損なっているのだと思う。
彼の理論がどこまで正しいのかはわたくしにはわからん。だけど、不愉快な仮説を、それが不愉快だからという理由でしりぞけるのではなく、正しいか正しくないか、という観点でとにかく徹底的に考え抜く、という知的態度はやはり立派だり、そこがフロイトの偉いところなんだろうな、きっと。それを彼はこんなふうに言っている。
この世界に現実にあるものを知ろうとするなら、謙虚な気持ちになって、共感や反感はちゃんと抑制していかなければいけない
(p.192)
うむむ。クールですな。
ところで夢の分析に関してだが、様々な象徴を見つけ出し割当てるそのやり方は、言ってみれば非常に恣意的なようにも思える。この感じ、どっかで見たことあるなあと思ったら、そうだレヴィ=ストロースの神話分析だ。と気付いてさらに読み進めるとその先に、まさに夢と神話の共通性について述べられている。なるほどね。
ま、とりあえずこの本読み終わったから、やっと「1Q84」にとりかかれるな。