野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

損して得取れ

さる人の勧めにより読んでみた、「仕事に使えるゲーム理論」。
タイトルはちょっとアレだが、大変に面白い本である。

仕事に使えるゲーム理論

仕事に使えるゲーム理論


真面目に、体系的にゲーム理論を学ぼうという奇特な方にはあまり向いていないと思う。けど、まあだいたいこんなもんよね、となんとなくわかったような気になりたいならば、かなり良いと思う。日常生活にあふれている様々なことについて、ゲーム理論で実に切れ味良く説明してくれる。直感に反するような話、いっけん理屈に合わないような行動も、実はゲーム理論に基づいて考えれば、まったく理にかなったことであるというのがわかる。
でもそれは実はあんまり気分の良いものではない。ゲーム理論が前提としているのは、どいつもこいつも自分が少しでも得をしようということしか考えていないクソ野郎ばかりの、殺伐とした世界だ。もちろんそれは単なる前提であって、極力余分なものを捨象し、世界をシンプルにモデリングし、物事をクリアに考えることによってある種の真理に到達するための方便に過ぎない。それはわかっているのだが…
どうも俺様はあんまりゲーム理論を修得するのには向いてないんじゃないか、そんな気がしてきた。自分の頭がこんなにお花畑だらけあとは知らなかった。
それでも覚えておいた方が良い。現実世界の人間っていうのは、意外と愚かで、決してゲーム理論の世界ほど合理的には行動しないものだ。